食道癌、胃癌、大腸癌

食道癌、胃癌、大腸癌はお腹を切らないで治す病気になりました。

癌は決して初めから大きいものではありません。
内視鏡は数ミリの癌を発見できます。そして2cmくらいまではほぼ確実に内視鏡切除で癌は完治します。外科手術は必要ないのです。
胃がんはピロリ菌で引き起こされます。生来ピロリ菌に感染していない人は胃癌になる確率が殆どゼロと推定されています。

衛生環境の改善で日本の若い人のピロリ菌感染率は欧米先進国と同じレベル(約1割)になりました。若い人ほど胃癌にならない人が増加しているのです。
世代が変わってゆけば胃癌は確実に著しく減少していきます。

しかし現実には胃癌で亡くなる人は毎年増加しています。団塊の世代がその年齢になりつつあります。
せっかく診断と治療法が格段に進歩しているのにも拘らず進行がんで見つかることがまだまだ多いのです。

その対策は自分の胃癌リスクを知ることです。
それはピロリ菌感染の有無と、胃の粘膜に萎縮性胃炎が有るか否かです。
自分がピロリ菌を持っているかどうかはとても大事なことです。
ある研究でピロリを持っている50歳以上の男性1500人を5年間毎年内視鏡検査をしたところ、45人(3%)に胃癌が発生しました。
残念ながらその人たちの胃癌の発生を予防することは現在のところ出来ません。
ピロリ菌の除菌も役立ちません。しかし粘膜にとどまっている胃癌は決して怖い存在ではありません。
内視鏡で発見して切除すれば完治します。

同じことが大腸にも言えます。
大腸癌はその原因が究明されてはいません。
日本でも確実に増加しています。現在認められている大腸癌のリスクは

  1. 過去に大腸癌の手術をした、または大腸腺腫のポリープ切除をしたことがある。
  2. 兄弟に大腸癌あるいは大腸ポリープの切除歴がある。

これに当てはまる方は定期的な検査で早めにポリープを取り除くことで将来の大腸癌を予防できます。

胃癌・大腸癌はその発生から命を脅かすようになるまでおよそ10年かかると予測されます。
突然降って沸く物ではないのです。魔の手から逃れる時間は十分に有るのです。

食道癌はおよそ胃癌の10分の1ですが手術となると大変厄介です。
上部内視鏡検査は同時に喉や食道も見ることが出来ます。
食道癌や咽頭癌も同じようにその診断と治療法は年々進歩し粘膜内の癌であれば、内視鏡で治療が出来ます。
50歳を過ぎたら胃、大腸の内視鏡検査を受けることをお勧めします。
これで異常がなければ何か腹部に症状が出ても胃癌と大腸癌は心配する必要がなくなります。