内視鏡でわかる胃の病気

胃の病気

2023年10月現在 喜島クリニック胃内視鏡8193例

1. 咽頭がん

当院 ゼロ
検査する側にとっても、早く通り抜けてしまいたい所です。しかし咽頭部観察は行うべきとされています。
アルコール分解酵素欠損(酒を全く受けつけない)の人に咽頭がん食道がんのリスクが高いことが最近判明しています。
このような方は特にここを観察することが勧められます。
無症状で発見できれば内視鏡治療で完治できます。

2. 食道がん

当院 13例
丁寧な観察により内視鏡で治療できる早期がんが発見できます。

3. 逆流性食道炎

当院 551例
食道下部が胃酸の逆流で傷ができた状態です。胸焼け、みぞおちの痛み、嚥下障害など症状は幅が広いです。
慢性のから咳の原因であることもあります。胃酸を抑える薬が発達したので症状のコントロールは容易になりました。

バレット食道

強い胃酸が食道に逆流すると食道下部の粘膜に腐食がおきて脱落します。
この傷の修復は本来は食道粘膜が主役となるべきですが胃の粘膜が出てきます。
つまり欠損した食道粘膜部分が胃粘膜に置き換わるのです。
この状態をバレット食道と言います。内視鏡検査で6-7割の方にあります。逆流性食道炎が高頻度です。
ピロリ菌感染しているとここに胃がんができることがあります。 食道胃がんといいます。

食道裂口ヘルニア

食道は横隔膜の食道裂口という穴を貫いて胃につながります。この穴が異常に広いと胃の一部が胸のほうへ押し出されます。当然胃と食道の粘膜境界線は上にあがりバレット食道と区別が難しいです。逆流性食道炎の症状がある方によくみられます。

4. 胃がん

当院 48例
胃のピロリ菌感染が胃がんを作ります。
この菌は3歳くらいまでに経口感染してこれが生涯持続します。免疫が確立する5歳以降になると感染はしません。
ピロリ菌が発する毒素は胃粘膜を急速に劣化させて萎縮性胃炎を起こします。
ピロリ菌を持っている50歳の男性で年に1%(女性は0.5%)の頻度で胃がんが出来ます。

女性の30代にスキルス胃がんと言われる進行の早い癌があります。
若い女性にピロリ菌感染と鳥肌胃炎と呼ばれる特徴的な変化が見られた場合、この癌のリスクが高いので注意が必要です。

ピロリ菌がいなければ胃がんにならないと単純に考えておられる方が多いと思いますが、正確に言うと、ピロリ菌がいない人には2つあるのです。
ピロリ菌と関わりがあった人(除菌した人)とそうではない人です。
実は除菌しても胃がん発生リスクは殆ど変わりません。数パーセントくらいです。潰瘍再発には効果大きいです。
マスコミなどの不正確な情報などによって、菌を退治すれば胃がんにはならないと安心している方が実に多いのです。
これが定期的な検査を避けてしまう原因になっているとしたら怖いことです。除菌後の胃がどうなっているのかは、紫外線と皮膚がんの関係を考えると理解できます。
職業上、長年紫外線を浴びて皮膚が皺だらけになってしまった人が、紫外線と皮膚がんの関係を知ってあわてて翌日から一切外に出ないようにしても皮膚がんのリスクがゼロになることはありません。

リスクゼロの人は、赤ちゃんの時にピロリ菌をもらわなかった人だけです。
ピロリ菌除菌された方は1年後に胃の改善具合と早期がんの有無を確認するために再検査します。
その後も定期的に内視鏡が必要です。そのメリットは安心感です。
たとえ癌が見つかっても、命の心配をするようなことは決してありません。
内視鏡は5mmの胃癌を発見できます。これは胃粘膜切除で簡単に治療できます。定期的に見張りましょう。

5. 胃ポリープ

当院 2461例
基本的に胃ポリープは癌にはならないので治療はしません。
大きいものや特徴のあるものは病理検査で判断します。

6. 胃粘膜下腫瘍

当院 256例
粘膜の下に腫瘤があります。直接組織を検査できません。
筋腫 神経腫 脂肪腫などがあります。通常10mm以下は経過観察です。

7. 胃潰瘍、十二指腸潰瘍 糜爛

当院 158例
胃酸には食べたものを消毒するという極めて大事な役目があります。
食べた物が胃に入ると反射的に酸が出ますが、これが胃の粘膜を傷つけることはめったにありません。
しかし脳の興奮も胃を刺激します。この原因は主にストレスと飲みすぎです。
そしてこの時の酸は有害です。この胃酸分泌は睡眠中に起きます。
胃の中は空っぽで体は横になっているため、胃の中に薄まらない酸が留まります。夜は胃にとって摩の時間なのです。

潰瘍から出血があると便が墨の様に黒くなります。
内視鏡検査では癌がないことと、ピロリ菌感染の有無を確認します。ピロリ菌と潰瘍も強い関係があり除菌は潰瘍再発予防に大変効果的です。

潰瘍は寝ているときの胃酸の過剰分泌が原因なので寝る前に胃酸をコントロールする薬が有効です。
そのほか鎮痛剤や抗凝固剤なども潰瘍の原因になることがあります。

8. アニサキス症

当院 57例
生魚を食べたあとの強い胃痛はこれを疑います。持続的な痛みではなく波状的に来ます。

胃潰瘍薬は効きません。当院では12年間で40例経験しています。
最近マスコミで取り上げられていますが当院では2013年を境に急激に減っています。取り扱う側で注意している結果だと考えています。
5日くらいでアニサキスは死んで症状は消えますが、内視鏡で摘出すれば痛みはすぐに解消します。
魚は良い食べ物です。対応策がきっちり打たれているのでお刺身を控える必要はありません。
冷凍物、火を通したものは100%安全です。