大腸ポリープ
粘膜の盛り上がり:ポリープとは
粘膜はほぼ1週間で新しい細胞に入れ替わります。 そのためには細胞分裂が必要です。
一度分裂した細胞が次に分裂するまでに一定の時間があります。一回分裂したら1週間休憩、そしてまた分裂するように。
こうした細胞がそろっていれば粘膜の厚みは一定になり平らです。
ところが、休む時間が短い細胞があるとその部分だけ厚みが増えて盛り上がります。これがポリープです。
癌につながるポリープとはどんなものか
ポリープは細胞の形で分類されます。
主なものに過形成ポリープ(G2)と腺腫(G3)があります。
過形成ポリープは正常粘膜と区別できない細胞でできているもので大きいものはほとんどありません。
一方わずかに異常が見られるものを腺腫といいます。
直径5mmを越えると成長が早くなり10mm前後からポリープの一部が癌化します。
癌の可能性が高い腺腫はいわば癌の芽といえます。
大腸ポリープはG2かG3が重要です。
検診の便潜血はポリープを発見できるのか
この検査はきわめて微量の人間の血液を検出できますが出血がなければ陽性にはなりません。ポリープの便潜血陽性率は15-20%です。約8割のポリープは潜血陰性となり「異常なし」と判定されます。すでに癌化しているポリープでも必ず陽性になるとは言えないため見逃される可能性があります。
検診で毎年潜血陰性が続いていたのに陽性といわれて検査を受けたらいきなり進行癌ということが稀にあります。大腸癌の予防という観点からは便潜血検査だけでは不十分なのです。
検診の便潜血「陰性」の結果には保険でいうところの免責部分があるのです。
すべての大腸癌はポリープから発生するのか
多くの大腸がんはポリープから出来ると考えられています。
しかし頻度は低いですが平らな大腸癌が発見されています。
この癌はポリープを作らず平坦な病変で進行します。
直径10mmを超えるとリンパ節転移を始めるなど進行が速いことがわかってきました。
起が無いので出血も少なく 便潜血法に引っかかりにくいのです。
この癌を早期発見できるのは内視鏡検査しかありません。
大腸がんのリスクが高い人とは
過去に大腸癌、または腺腫性ポリープを切除したことのある方、あるいは家族、特に兄弟に消化管の癌が出ている場合です。
そのような方は定期的検査が必要です。
近年日本人の病気の構成が変化しており胃癌は減少、肺癌、大腸癌は増加という傾向が見られています。
ポリープとどう付き合うか
大腸にできるポリープをすべて切除する必要はありません。
内視鏡学会でも直径5mm以下のポリープ切除は必要ないと勧告しています。
特に過形成ポリープのほとんどは切除対象にはなりません。
ポリープの表面を詳しく観察することで腺腫あるいは癌を見極める技術が飛躍的に進歩しています。ITも導入されようとしています。
G3のポリープを切除したら1年後に再検査します。
そのとき切除対象となるポリープがなければ間隔を2年あけての検査を予定します。
たとえて言えば庭の芝生を定期的に見回りして雑草の芽が出ていれば指でつまみ取ってきれいな芝生を維持することと同じです。