上部内視鏡検査
胃カメラ
オリンパス社製のXP260を使っています。
太さは6.5mmです。通常の9mmに比べ喉を過ぎるときの抵抗が少ないです。
開業以来14年で6000例の検査を行いましたがほぼ私の理想とする「苦しくない検査」が実現されていると思います。
ごくわずかですが反射がきわめて強い方もいらっしゃいますが鎮静剤を使って検査できています。
歯科治療で反射が強かった方は鎮静が必要になることが多いです。
希望される方には鎮静剤の使用も可能です。
潰瘍とか急性胃炎、あるいはアニサキス症などは突然発病することが多いです。
食事を取らずにおいでになれば緊急内視鏡で診断をつけて最も適切な治療をすぐに開始できます。
即座に柔軟な対応ができるのがクリニックのメリットです。
手順
1. 予約
検査の日を決めていただきます。
午前は9時から2件できます。
午後は基本的に大腸検査を行っていますが状況によっては施行可能です。
過去及び現在の病気の情報を記入(アンケート形式)していただきます。
特に初めての方には検査を安全に進めるうえで必要なことです。
抗凝固剤を飲んでいる方、麻酔で過去に異常反応が出た方は必ず申し出てください。
術前検査感染症の有無、血液凝固系(血が固まる機能)を採血して調べます。
予約票はこちらからご覧いただけます。
2. 前処置
胃内の粘液を溶かす薬、泡を消す薬剤と水を飲んでいただきます。
胃の中には胃液と胆汁及び唾液が流れ込み、胃の粘液と合わさって細かい泡状になって胃の内壁に張り付いています。
これでは観察が出来ないので、薬で取り除いてから検査をします。
3. 咽頭麻酔
喉の反射を抑えるために表面麻酔を行います。
楽な検査のために最も大事な処置です。そのために当院ではこの部分は確実におこないます。
はじめにゼリー状の麻酔薬を含み喉にしばらく留めていただきます。
麻酔が効いてくると喉に違和感を感じますが心配ありません。
次に麻酔薬のスプレーをかけます。このとき少ししみることがありますが、これは麻酔が不十分な部分に麻酔薬が効いていく反応です。
これで喉の麻酔が完成します。ここまで約10分です。
次にブスコパン(胃の緊張を弱める薬剤)を上腕に筋肉注射 必要な方には静脈麻酔を行います。
4.検査
胃カメラの挿入で一番緊張するのはカメラが喉を通るときです。
内視鏡医によってやり方が違いますが、当院では患者さんにゆっくりとした呼吸をしている間に本来食事が通る道にそって挿入していきます。
飲み込む努力は必要ありません。4万例を超える経験で実証されていますが、一番楽な方法と自負しています。
ここを過ぎれば後は空気で胃が膨らまされて少し圧迫を感じる程度で終わります。
終わるときには必ず胃の空気は全部抜きます。
5. 色素散布 NBI観察
胃の粘膜をより詳しく観察するために青い色素を使います。
インジゴという色素で人体には無害ですが一度服につくと洗濯しても取れません。
そのほか観察光を変えて観察できるNBI装置もつかって観察します。
6. 生検
検査中に病気が疑われる変化が見つかったときに病理検査するために組織を一部採取することを生検といいます。
径1mmくらいの粘膜を採取します。粘膜には神経がないので痛みは全くありません。1-2分出血があり止まります。
抗凝固剤(血液の固まる機能を抑える薬)を飲んでいる方は出血が止まりにくいので検査の1週間前からこれらの薬をとめていただいて正常に血液が固まる状態にしておいてから検査をします。
7. 回復
鎮静剤が十分にさめていないときや、腹部がはる時は少し安静用のベッドで休んでいただきます。
8. 説明
検査後胃カメラの映像をお見せしながら説明をします。
病理検査の結果は1週間後になります。
内視鏡検査にかかわる機器の洗浄及び消毒について
喜島クリニックでは検査後の内視鏡は酵素洗剤による十分な手洗いで付着している有機物を除いてから強酸性水による消毒を行います。
血液に触れるかんし類は使用後オートクレーブで滅菌処置を行っています。
強酸性水は非常に強力な殺菌作用(約10秒であらゆる細菌、ウイルスを破壊します)を持っていますが わずかな有機物で瞬時に効力を失います。
この脆さは欠点とも取られますがむしろ生物や環境への安全性が高いことを証明しています。
強酸性水の内視鏡消毒への応用はすでに日本消化器内視鏡学会で条件付で認められています。
私は内視鏡による感染事故の防止とクリニックのスタッフの健康管理の面から強酸性水による消毒法を選択しました。